中学入試でよく出題される「西暦」にちなんだ問題を作ってみました。遊び感覚で挑戦してみてくださいね。どうせ2025が答えになるんでしょ…っていうやつですが笑

西暦問題(2025)

問 みなさんは小学校で掛け算を習うとき、「九九の表」を目にしたことがあると思います。少し思い出してみましょう。九九の表は次のように構成されていましたね。

 上の九九の表では、一部が省略されています。省略されている部分も「九九の表」に含めるものとして、次の問いに答えなさい。

 (1) 1の段の1番目から9番目までの数の合計を求めなさい。

 (2) 太い線で囲った「九九の表」の中に、4の倍数は何回あらわれますか。

 (3) 太い線で囲った「九九の表」の数字をすべて足すと、いくつになりますか。

ちょっとヒント(というか【ほぼ答え】ですね…)

 この表を思いつくことはさほど難しいことではないと思います。また、計算も「これをやればいいんでしょ」というのは、特に特別な思い付きや能力を求めるものではありません。
 でも、この表が【ほぼ答え】になっています。
 この、「難しいことはしていないのに【ほぼ答え】になる」、ということの裏に隠れているものを、問題作成のプロの視点から読み解いてみます。

解答と読み解き方

(1) 1の段の1番目から9番目までの数の合計を求めなさい。

    1+2+3+4+5+6+7+8+9=45
    答え:45

 中学入試に限らず、規則性に関する問題では、このように「まずは規則性を見つけて理解してね」という問題が小問として出題されることがあります。特に、規則性が文章で説明されている場合はこのような小問が前置きになっていることが多いですね。
 塾などでは「こういう小問は得点しやすいからこれは基本!」とひとまとめにしがちですが、本当にそうでしょうか。
 この問題は、何もここで得点してほしいから出題しているわけでもなく、計算力をはかるのが主眼の問題でもありません。

出題意図

 この問題の意図は、ただ計算をして答えを出すだけではなく、「この規則性はどうなっているんだろう」「省略されている部分はどうなっているんだろう」と考え、「予想してみる力」と「それをたしかめる力」を確認するところにあります。
 ここでは、実際に「1から9まで、数字を並べて書いてみる」ことで、「規則性を予想し」「たしかめる」作業ができていることを、計算結果として「答え」させることでその能力を確認しているのです。

普段からできること

 ただの点取り問題じゃない、意図のある問題。その「意図」に答えるために、普段から練習できることがあります。

自宅での練習のポイント
 入試本番ではそうも言っていられないのですが、このような問題に取り組む際は、面倒がらずに可能な限り実際に書いてみることが大切です。
 何を面倒くさいことを…と思われるかもしれませんが、実社会では「実際に数えてみる」「間違いなく順番通りにそろえられる」ことは当たり前の実務能力として求められます。

 例えば、今回の問題では「1の段を9番目まで書いてみてね」というのが出題意図でした。1から9までの数字を、きっちり区別して書けますか?
 「2と3がくっついて23に見えた」というようなことはないですよね?これが、ただ単に「計算ができますか」という問題ではない、「規則性を見つけて」「しっかり」「きっちり」「規則に従って書くこと」ができるかどうかを図っているという、ものすごく簡単な例です。

書けるなら面倒がらずに書く!

 ぜひ、自宅で練習するときに、「可能な限り書いてみる」ようにしてみてください。1cm方眼のA4紙も私のページからダウンロードできますので、書き出す作業の練習に使ってください。
 書くことを苦にしない、100個くらいなら書いてしまえ、といえる子は強いです。腕力勝負ではありますが、それが「当たり前の正確性を有している」ことは、かなり高度な能力ですし、一朝一夕に身につくものでもありませんし、何か意識すればできるようなものでもありません。地道に、機を見て練習してください。

 中学受験では、小学校4年生後半くらいからこのような規則性の問題を意識し始めます。また、高校受験では中学1年の1学期(素数やエラトステネスのふるい)、中学2年の2学期(文字式の利用)あたりで規則性をしっかり理解していくことが求められます。

 繰り返しますが、「面倒がらずに書く」ことが、規則性の問題に対する練習の基本です。

(2) 太い線で囲った「九九の表」の中に、4の倍数は何回あらわれますか。

 この問題が「ちゃんと面倒がらずに書けているか」を確認する問題です。2の段や3の段にも4の倍数は登場していますね。じゃあ、他の段では?

 「縦と横で偶数の列を見て、4と8の列は全部4の倍数!」…間違ってはいませんが、ここで重要なのは、「もれなく(数え忘れがないこと)」「重複なく(同じものを2回数えないこと)」カウントできてできているか、です。

 4の段(横方向に見る)で4×4=16をカウントし、4番目(縦方向に見る)でもう一度4×4=16をカウント…してないよね、大丈夫だよね!

面倒がらずに書く力の重要性

 いい加減くどいですが、「面倒がらずに書き出す」ことは、この「もれなく」「重複なく」を自覚的に認識するきっかけを作るためのものです。書き出すことで、「数え忘れ」や「同じ数字のカウント」を自覚的にチェックすることができ、「規則性」「原則と例外」を思考過程で処理できるようにしていく練習をしているのです。

 もちろん、ベン図を使って処理することも可能です。慣れればそちらのほうが早いでしょう。でも、その根底にはこの「もれなく」「重複なく」「面倒がらずに書いて調べる」ことができるかどうか、という基礎能力が出題意図に隠れていることを知っておいてください。

 答えは…数えてみてください笑

答えは…?

ここではあえてお伝えしません!ぜひ「面倒がらずに」書き出してみてください笑(我ながら性格悪いですねw

(3) 太い線で囲った「九九の表」の数字をすべて足すと、いくつになりますか。

 ・力技で計算する
 ・面積図を使う
 ・分配法則を使う
 …などなど。

2025年、よい一年になりますように!