勉強時間と勉強量は違う?

よく聞かれることの一つに、「何時間くらい勉強すればよいですか」「勉強量はどれくらいが適切ですか」というものがあります。
これについてお話します。

「勉強時間」「勉強量」「勉強の質」は別々に考える

まず、

  • 「何時間くらい」=「勉強する時間」
  • 「勉強量」=「問題を解く量」
  • 「何を」=「勉強の質」

は分けて考える必要があります。

「勉強の質」を求める前に「量」をこなせるようにする

受験前などは「問題を解く量」が増える結果「勉強する時間」が増えるという関係になりますが、「勉強の質」は別次元のものです。

私が指導するときは、まず何が過剰で、何が不足しているかを分析し、「量」×「質」を最適化する勉強時間を算出します。そして、その範囲で課題を設定し、まず「集中力」「単位時間あたりに解ける問題の量」を増やします。この「集中力」「量」ができるようにすることを優先するのがポイントです。

「短時間で成果を上げる」は危険?

 「短時間で成果を上げたい」と考えるとどうしても「何をやればいいか」という「質」に目が行きがちです。しかし、そもそも「量」ができないまま「質」だけを追求するというのは、例題や頻出問題だけやって類題や練習問題、少し思考が必要な問題を切り捨てることになります。それで「勉強ができるように」なるでしょうか。

まずは「時間あたりの量」を増やす

 私はそうは考えません。勉強も身体のトレーニングと同じく、「量」が必要です。「量」をこなすためには「時間」がかかる…そんな時間の余裕はない!
 わかります。小学生・中学生・高校生は忙しいです。勉強している「時間」はないのです。でも「量」をこなすべき。では、すべきことは?

 そう、シンプルに、「時間あたりにできる量を増やせばいい」のです。当たり前ですが、時間あたりにできる量が増えれば勉強量が増えます。「質」の担保された例題・典型問題に加え、その類題や同じ問題の反復練習による定着の徹底も可能になります。これが、「勉強ができるようになる」ということです。

「集中力の成長カーブ」を理解する

 でもそんなに簡単に「時間あたりにできる量を増やす」なんてできるわけがない。普通はそうでしょう。それは、年齢とともに「集中して勉強できる時間」が成長していく(長くなっていく)という人間の成長曲線を見ることで解決します。

 これだけはノウハウの肝になるところなので具体的な数値は伏せますが、各種統計(学力調査など)や私の経験から、年齢ごと、学年ごと、身体的性別(もちろん思考特性的性別もあります)ごとに、
 何歳の何学期なら、1回で集中して勉強に取り組める時間は**分、1日にそれができるのは*回程度、というはっきりとした指標があります。
 その指標は、おそらく世間で考えられているものや、塾などが言うものよりはるかに短く、少ないものです。まずはその時間内に集中して「勉強時間の質」を上げることをしないまま、物量だけを増やしてもパンクするか、いやになるか、何かを放棄するしかなくなります。当たり前ですが。

「集中できる時間に集中する」ことを学ぶ

 私の指導はこの「集中できる時間に集中する」ことを身に着けることが最初の課題になることが多いです。これは、それまで「だらだら勉強」「物量に頼った勉強」をしてきた期間が長いほど、そこからの脱却、いわば治療に時間がかかります。

成果が出るまでの期間

 このような指導法のため、その成果を実感できるようになるまで早くて3か月、長いと1年くらいを要することがあります。「そんなに待てない」場合は、「力技」を用いることもありますが、それは望むところではありませんし、そこで使うノウハウは定期試験で点数を取るため、受験に合格するため、という、生徒の将来の目標のためには本来、手段でしかないものを目的とした、方便的なものです。

 このような方便的手法は、「受験専門」や「定期試験・内申アップ保証」のような塾さんなどでも十分可能でしょう。法則性を利用した「力技」でしかありませんので。
 私も過去には塾でそのような指導をしていた時期もありました。若気の至りだったな…と思います。

「要領が良い子」と言われる理由

 早い時期から私の指導を受けている生徒さんが皆「要領がよいように感じられる」と言われるのは、要領の問題ではないと思います。物事の優先度付け、集中力、物事の肝要な8割の部分を2割の時間で終わらせ、残りの時間でその8割の部分を確実なものにするとともに、「量」をこなせる結果、周囲が悪戦苦闘する応用問題にもすんなり入っていけるようになっているのだと思います。
 繰り返します。

  • 物事の優先度付け
  • 集中力の鍛錬
  • 8割の重要部分を短時間で処理し、その定着に時間を使う

です。

家庭教師の「時間制」に意味はあるのか?

 家庭教師、というと1回2時間、など、時間で区切ることが多いようですが、私はそれでは意味がないと思います。それなら塾や個別指導塾でもいいじゃない、と。時間の密度を上げ、時間を可変的に操り、時間あたりの処理量・能力を高め、処理(=勉強)が苦にならなくなる結果、勉強時間が伸びる、というのが本来訓練していくべき指導順序です。

数字だけを知っても意味がないから

ませんが、なんならそれは各種統計(学力調査など)で一部は公にされているものですので何も業務秘密でも何でもありません。でも、その内容と実態を理解し、正確に運用するためには教育的な知見が必要です。
 単にその「数字」だけを知っても意味がないものですので、ここでは

  • 勉強は「質 × 量」
  • 集中できる時間・回数は年齢とともに成長する
  • その時間は世間で思われているよりはるかに短い

という事実のみ、お伝えするにとどめます。
(個別にお問い合わせいただき、状況がわかる場合には、具体的な数値をご教示申し上げます。)

その先は、生徒さんの個性によって変わります。「その先」を知りたい方は、ぜひ私の指導を受けてみてください。

勉強の相談も受け付けています

…今日はちょっと「秘密」多めですね笑
 秘密でも何でもない、公式な調査で報告され、検証もされているものですが、これを知る手段を持つかどうか(もちろん自分でも調べられます)は、情報スキルの一つだと思いますのでこの程度にとどめますね。

 勉強方法の相談や塾の宿題の取捨選択、志望校合格に向けた自宅学習の戦略などのご相談もお受けしております。どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。 

ではまた!

(今年は花粉が早いですね…)